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1ー1.響カリンは地元企業で社畜する

2025-02-06 21:43:09

 やっと打ち合わせ終わった。

しかし、すげーなこの広報のヒト。一人で3時間しゃべり通しだった。最初の印象は、うつむき加減で肌が病的に白くって声もかぼそくて、か弱い女子だと思ったのに、いざ打ち合わせになったらしゃべるわしゃべるわ。女傑って言われるうちの社長がたじたじって、どんだけのバイタリティーだよ。

それに比べて横の町長はといえば。ずーと鼻毛抜いてテーブルに並べてやがった。

ったく、ここだれが後片付けすんだっての。

「ヒビキ、車まわしといてくれる?」

「はい、社長」

「あ、ヒビキちゃん。キー、これね」

 ちゃん呼ばわりすんな。ハナ毛。

 廊下、灯り消えてるや。守衛さんうたた寝してる。オツカレサマでーす(小声)。

無理もないよ、すでに夜の12時半だもの。

で、さすがにこの時間となるとまだ涼しー。夜風が心地いい、稲くさいけど。

今、田んぼの中でガサガサって音したね。

なんてね、何もいるわけないし。いたとしてもでっかいネズミのヌートリアさんだしょ。

 辻沢駅裏からこんな田んぼのまん中の本社移転で唯一うれしかったのが駐車場の広さ。青物市場の旧本社の駐車場は狭くて、社員は離れたところ使わされてた。ここなら全社員の車止めてもまだ余裕がある。

 えっと、ノーブルシャイニングホワイトのエクサスはっと。あったあった。

てか、もう社長の真っ赤なポルポルとエクサスだけじゃん(あたしのK車は除外)。

相変わらずかっこいーねー、エクサスLFAは。

V型10気筒DOHCエンジン、日本の公道でこんだけいるかっていうほどのパワーとスピード。インテリアの豪華さやばい。マホガニー調のダッシュボードに黒の総皮張りシートって、これだけであたしの車10台ぐらい買えちゃうんじゃないの?

いつかあたしもこんな車に乗れるようになるんだろか。

 まずは、キーを真ん中のスペースに置いてステアリング横のボタンを押すとエンジンがかかる。

マジ? 激マジ?

鼓動を揺さぶるエギゾーストノイズ。エンジン音ずっと聞いていたい。発車オーライ。おっと、アクセル踏み過ぎた。って、わざとー。

怖いよ、この底知れぬ馬力。ハンドリング軽い。タイヤ吸いつく。これだったら峠道、楽勝でぶっ飛ばせるね。

って、やっば、社長たちもう玄関で待ってる。

「じゃあ、社長、三社祭スポンサードの件はよろしくということで」

「はいはい。アイデアは町長、お金はうち。ですもんね」

「しゃちょー、それはないんじゃないの? 辻沢に人が集まる。ヤオマン儲かる、でしょ」

 ホントやな奴。こいつが辻沢の町長だってんだから。

「ヒビキちゃんだっけ? 苗字ひょっとして能面ライダーだったり? 能面ライダー・ヒビキ」

 の、わけないだろ、名刺見ろ。苗字だ、ヒビキは。ってか、何回目だ? それ言ったの。

「こわいねー、睨まれちゃったよ。社長、若いのは早いうち教育しなきゃだめだよ。すーぐ言うこと聞かなくなるから。じゃ」

 なーにが。てめーがまず教育されろっての。

広報さん、また次の打ち合わせで(お辞儀のみ)。

足、気持ち引き摺ってたんだ。あ、そこ段差あります。気をつけて(お辞儀)。

 町長が運転すんだ。あーあ、あいつにはもったいない車だよ。エクサスLFAのポテンシャル舐めてんじゃねーぞ。とろとろやってねーできちっと走らせろや。

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